タトゥーと温泉

なぜ断られるのか、法律は実際どう言っているのか、そして入るための3つの方法。

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タトゥーがあると、断られる施設と、まったく気にしない施設があります。全国共通の決まりがあるわけではなく、法律に書かれているわけでもありません。施設ごとに決めています。この慣習がどこから来たのか、国は実際に何と言っているのか、そして湯に入るための現実的な3つの方法をまとめます。

タトゥーを禁じる法律はない

公衆浴場法は、営業者に対して伝染性の疾病にかかっている人の入浴を拒むよう定め、入浴者に対して浴槽内を著しく不潔にする行為などを禁じています。タトゥーについての記述はありません。

2017年2月、衆議院議員が内閣に対して、タトゥーがあることだけを理由に、同法第4条の「り患者」にあたるのか、あるいはその入浴が第5条第1項の「公衆衛生に害を及ぼすおそれのある行為」にあたるのかを質問しました。答弁書はこう答えています。

2017年2月21日 答弁第69号

「入れ墨があることのみをもって、対象者がり患者に該当し、又は当該入浴が当該行為に該当すると解することは困難である。」

つまり、断りは施設の経営判断であって、法律上の義務ではありません。裏を返せば、**受付で法律の話をしても意味がありません。**施設にはそのハウスルールを持つ自由があります。

そのハウスルールの出どころ

観光庁が旅館向けに出しているQ&Aは、この点をかなり率直に書いています。対応は「旅館によって大きく異なります」とし、日本では反社会的組織との関連性から入浴を制限してきた経緯があること、最近は外国人のタトゥーへの理解が進んで対応が変わりつつあることを認めています。

ここから2つのことが言えます。

このルールは、観光客を想定して作られたものではなく、国内の反社会的組織を想定して作られたものです。いまも運用している施設が、あなた個人を判断しているわけではありません。

そして法律ではなくハウスルールである以上、施設の側で変えられます。実際に変えた例もあります。御殿場の木の花の湯は、外国人利用客の増加を理由に、2025年4月1日からタトゥーによる入浴制限を解除すると告知しました(暴力団関係者の利用は引き続き断る、としています)。

どのくらいの施設が断っているのか

もっとも広く引用されているのは、2015年に公表された観光庁の入浴施設への調査です。

タトゥーのある人への対応 割合
断っている 約56%
断っていない 約31%
条件つきで許可(シールで隠すなど) 約13%

この数字は過去のものとして扱ってください。調査の公表は2015年で、掲載していた観光庁のページは現在は残っていません。ここに挙げた数値は原典ではなく当時の報道によるものです。以降、これに相当する全国調査は公表されていません。ルールを変えた施設が相次いでいることを考えれば、現在の「断っている」割合はこれより低いと思われますが、測った人がいません。

入るための3つの方法

1. タトゥー可の施設を選ぶ

いちばん確実で、このサイトがある理由でもあります。大事なのは、誰がそれを言っているかです。第三者のまとめサイトの「タトゥーOK」は、施設自身が公式サイトで表明しているものより弱い情報です。まとめは古くなり、かつ、めったに確認し直されません。

このサイトの温泉は、そのどちらなのかと、最後に確認した日を、施設ごとに記録しています。

2. 隠す

観光庁が施設に示した対応例には、シール等でタトゥーの部分を覆うこと、入浴時間を調整すること、貸切風呂を案内することが含まれていました。タトゥーシール(入れ墨シール)はドラッグストアや通販で買えます。

これは完全に覆えることが前提なので、手首くらいの大きさなら現実的ですが、腕全体や背中では成立しません。施設によっては指定の製品を求められたり、販売・貸出をしていたり、そもそも「隠しても不可」だったりします。脱衣所で揉めないよう、行く前に確認してください。

3. 貸切風呂・部屋風呂を使う

貸切風呂や露天風呂つきの客室なら、他の客と同じ湯に入らないので、問題そのものが消えます。観光庁も標準的な対応例のひとつとして挙げており、大浴場ではタトゥーを断る旅館でも、貸切風呂なら受け入れる例は多くあります。

日帰り入浴より費用はかかります。ただ、ほかの2つが駄目だったときに残るのは、たいていこの方法です。

浴場は法律上ひとくくりではない

日本の法律は、地域住民の保健衛生に必要なものとして料金が統制されている一般公衆浴場(いわゆる銭湯)と、スーパー銭湯・健康ランドなどのその他の公衆浴場を分けています。温泉旅館はさらに別で、旅館業法の対象です。

これらは客層も業態も違う別の商売で、タトゥーへの方針もそれぞれ独立に決められています。大型施設で断られたとしても、近くの小さな銭湯はまったく別の話なので、聞いてみる価値はあります。どちらの方向にも決めつけないでください。

行く前に聞く

電話で先に聞くのは普通のことで、失礼にはあたりません。受付はこの質問に慣れています。

聞くこと 言い方
入れるかどうか 「タトゥーがあるのですが、入浴できますか?」
隠せば入れるか 「シールで隠せば入れますか?」
貸切風呂があるか 「貸切風呂はありますか?」
大きさを伝える 「このくらいの大きさです。」

大きさは早めに伝えたほうがいいです。「隠せば可」と答える施設が実際に知りたいのは、覆いきれる大きさかどうかだからです。ここが食い違うと、着いてから断られることになります。

掲示の読み方

方針は入口、下足箱のところ、脱衣所の扉などに貼り出されています。表現がいくつかあり、強さが違って見えますが、言い回しの柔らかさで判断しないでください。

掲示 実際のところ
入れ墨お断り/タトゥーお断り 入れない
刺青の方はご遠慮ください 言い方が柔らかいだけで、入れないという意味で使われる
タトゥー可 入れる
シール等で覆えば可 覆いきれることが条件。大きさによっては断られる
貸切風呂/家族風呂 他の客と一緒にならない風呂。ここだけ可の施設がある
日帰り入浴 泊まらずに入れる

もうひとつ。**「暴力団関係者お断り」**が同じ掲示に併記されていることがよくあります。タトゥーの制限をやめた施設でも、この一行は残すのが普通です。木の花の湯の告知もその形でした。暴力団関係者のことだけが書かれていて、タトゥーに触れていない掲示は、あなたを断ってはいません。

出典

本文中の2015年の調査数値は、観光庁の調査を報じた当時の報道によるもので、原典のページは現在残っていません。そのため上では過去のものとして扱っています。